テレビは東京オリンピック祝賀ムード一色である。

ツイッター上では、東京オリンピック開催に反対する人間を、「非国民」呼ばわりするな、というツイートがあふれている。

自民党が政権を奪回し、安倍政権ができてから、政府のやることに反対する者を「非国民」呼ばわりする軽薄な風潮が勢いを増している。

すでに戦前であり、福島では放射能汚染を口にするものが「非国民」呼ばわりされている。

オリンピックを単純に祭りのレベルで考えている人もいる。そういった軽佻浮薄な人たちにとっては、めでたいことに水を差す不埒な輩に映るのだろう。

せっかくのシンプルな夢を潰して悪いが、オリンピックは平和なスポーツの祭典ではない。表層で見えるのは確かにスポーツであるが、見えない下部構造は、政治・経済・外交・軍事が支えている。

政治・経済・外交・軍事が演出したオリンピックの最高峰は、1936年のヒトラーの「ナチ・オリンピック」だろう。

このときはナショナリズムの高揚のためにスポーツが最高度に利用された。今回の東京オリンピック開催をヒトラーのオリンピックに重ねる人は多い。

そういえば安倍晋三の周りには、尖閣や竹島の領土紛争、集団的自衛権、改憲、国防軍、徴兵制といったきな臭い課題が山積している。

1972年のミュンヘンオリンピックでは、テロ事件(ミュンヘンオリンピック事件)が起きた。

1979年12月のソ連のアフガニスタン侵攻では、西側諸国の集団ボイコットという事態になった。

冷戦時代のことである。米国カーター大統領のボイコット呼びかけに、日本、当時の西ドイツや韓国、中華人民共和国、イラン、パキスタンなど50カ国近くがボイコットを決めた。

わたしは柔道が好きで、国内大会でもよくテレビで観戦する。柔道の山下泰裕には、オリンピック出場のチャンスが3回あった。ひとつは76年モントリオールで、2回目は80年モスクワである。最後が84年ロスである。

モントリオールは補欠で、金メダルが確実視されたモスクワは、ソ連のアフガニスタン侵攻で、日本が参加をボイコットしたため、山下は金メダルを一個損した、といわれたものだ。

わが国を襲ったこの一例をとっても、オリンピックには政治や軍事が強く反映することがわかる。純粋なスポーツの祭典などというのは歴史を無視した暴論である。

これには報復が続いた。モスクワオリンピックへのボイコットを呼びかけた米国の、次期ロサンゼルスオリンピックには、米国のグレナダ侵攻を理由にソ連圏の東側諸国がボイコットした。

モントリオールオリンピックでは南アフリカ共和国のアパルトヘイト政策を批判し、アフリカ諸国の多くがボイコットをした。

オリンピックに軍事と政治が絡んだ事例である。

このような事例を見てくると、安倍晋三も、うかつに対中国強硬策は取れなくなったことがわかる。

いつ中国が東京オリンピックのボイコットをいうかもしれない。心配なのは安倍晋三にはそのような政治家としての深謀遠慮がないことだ。

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ところで、バカテレビに洗脳されてオリンピックの経済効果を真に受ける人もいるようだ。

20年の開催を目指す東京五輪招致委員会は、オリンピック開催の経済効果を東京都だけで約1兆6,700億円,全国的には約2兆9,600万円になると公表している。こんな数字を信用する国民はよほどのお人好しである。オリンピック招致に大金を使うので、大義名分に幻想を振りまいているのだ。

2004年アテネ五輪開催後に、ギリシャは財政危機となっている。さらに、ロンドンオリンピックでは、開催後4年間の経済効果を130億ポンド(約1兆6000億円)と見積もっていたが、開催費用の93億ポンド(約1兆1400億円)の元が取れるのかという話にトーンダウンしている。現在の日本の借金1000兆円は、東京オリンピックの後始末から始まったことは、知っておいたほうがいい。日本以外にも、オリンピックから財政破綻や戦争の破局に向かった国もあるのだ。

オリンピックは、政治・経済・外交がスポーツを借りて表出するものだ。日本の財政は、1964年(10月10日~24日)に東京で開かれた第18回夏季オリンピックの翌年から、「40年不況」と呼ばれる大型不況に突入した。

それを乗り切るために戦後初の国債が発行されたのである。現在の借金1000兆円の山は、この東京オリンピックから始まったのである。

ギリシャは、オリンピック関連のインフラ整備が国家破綻のきっかけになった。これからわが国でも公共事業への予算要求が大幅に増大してくるだろう。消費税増税との絡みで、国民をだました社会保障はどうするのだ。お得意の隠蔽か。それともオリンピックに使うのか。

さて、最終プレゼンテーションにおける安倍首相のスピーチを見直してみよう。

「わたしが安全を保証します。状況はコントロールされています」

「汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている」

「福島近海でのモニタリング数値は、最大でもWHO(世界保健機関)の飲料水の水質ガイドラインの500分の1だ」

「健康に対する問題はない。今までも、現在も、これからもない」

安倍晋三は余程の田舎者なのだろう。世界が福島の現状を何も知らないと信じなくては、誰もこのような大ボラは吹けない。

次に紹介するのは、IPPNW(核戦争反対国際医師団体ドイツ支部)の記事である。

寂しいことだが、欧米の学者の方が福島の子供を心配しており、日本の政治家・学者は、へらへらと笑いながら国民を被曝させ続けている。

「福島原発事故による放射線被曝が大幅に増加したことをIPPNWは非常に懸念している。

また、健康への影響も、非常に懸念する状態である。それどころか、IPPNWは福島県内で18歳未満の子供の甲状腺癌が恐ろしく増加し、今後数年間で、甲状腺癌が異常な数で発生すると思われる。

原子力事故後二年半、甲状腺癌の症例数は18人に上昇している。 他の25人(18歳未満)の子供たちも、まだ手術はされていないが、おそらく甲状腺癌になるだろうと思われる。

(中略)

甲状腺癌になった家族は良い治療が行なわれても、ひどい打撃であり苦しみである。

甲状腺癌は、放射線被曝の唯一の病気ではなく、将来、福島では、白血病、腫瘍。癌、免疫力の低下、妊娠合併症、先天性奇形や流産などが確実に発生する。

日本では緊急に他の市民も集団的に検査(甲状腺検査や血液検査など)をする必要がある.

検査をしないと、被曝による病気、甲状線癌や白血病、腫瘍。癌、免疫力の低下、妊娠合併症、先天性奇形や流産、死産などがより拡大することになる。(Emi. Kiyomizu 訳)」
(引用終わり)

福島原発の現状は、技術的に対応しようもなく、ただカタストロフィを待つだけの深刻な状況にある。福島原発の最大の敵は政府の無能・無気力・無責任なのだが、上に挙げた安倍晋三の発言ほどこれを証明するものはない。

福島原発では日々トラブルが起きている。今は汚染水問題が注目されているが、そのほかにも、敷地内での放射線量の急上昇といった危険なトラブルは続いている。

安倍晋三の発言は、新手の安全神話である。これまで政府・電力会社・学者・マスメディアといった原子力村は、安全神話のもと、何の具体策も取ってこなかった。自ら安倍が創った安全神話のもとで安倍がやることは少ない。

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