5月23日の正午前、茨城県東海村の、日本原子力研究開発機構の実験施設で事故が起きた。

この事故は、金(きん)に特殊なビームを当てて素粒子を発生させる実験中に、ビームを規定以上に当ててしまい、想定を超える放射性物質が発生したものである。

この事故で少なくとも研究者6人(5月26日までに判明した分)が被ばくした。

この事故の対応のまずさは、先週のメルマガ「原発と軍事」で述べた、日本は原発を持つ資格のない国、といった思いを強くさせるものだ。

わが国の原子力村には、緊張感や責任感がないのはもちろんのこと、管理する能力それ自体がないのである。このことに国民は気付くべきだ。

そのお粗末さは以下のようなものだった。

以下に述べる事故直後の対応は、施設内の職員(技術的に詳しくなかったと思われる)と、当時、茨城県つくば市にいた、装置の運転責任者(もっとも詳しい責任者が現場にいなかったし、事故を聞いても駆けつけなかったことになる)が、電話で相談しながら決めていた。ファンを回して放射性物質を施設から外に出したのも、このふたりの電話相談の結果である。

愚か者たちの5月23日

1 午前11時55分に異常を知らせる警報が鳴り、装置が自動停止した。担当者は原因がわからないにもかかわらず、13分後に警報をリセットし、運転を再開した。バカである。

さらに、1時間半後の午後1時30分ごろに、施設内の放射線量が上昇したため装置の運転を停止した。そして換気用のファンを回して放射性物質を外部に放出し(狂っている)、放射線量を下げ、実験を続けた。しかし放射線量がさらに高くなった午後4時過ぎになって、ようやく運転を中止した。

2 実験室内で放射線量が高くなったのを下げるために、23日午後3時ごろから2回にわたって換気用のファンを回し、放射性物質を外部に放出している。それにもかかわらず、この日は周辺の放射線量も調査しなかった。こういうのんびりは、じつに原子力村的であり、日本的である。

さらに驚かされるのは、隣の施設の、モニタリングポストの値上昇を、翌24日の午後5時半過ぎまで確認しなかったことである。わたしが、わが国の原子力村に能力がないというのは、こういう点だ。ひとりもその提案をする者がいなかったわけだ。

また、換気用のファンを回した対応については、実験室内の放射線量が下がるかどうか確認するためだった、と説明している。文字通りのバカである。素人でもこんなことはしない。

3 施設内が放射性物質で汚染されていることを把握していたにもかかわらず、研究者を自宅などに帰した。

もちろん職員の被曝検査をしていないのである。恐るべき鈍感さであり、こういうのは能力がないといった方が適切である。

愚か者たちの5月24日

1 事故翌日の24日午前になって、内部被曝の検査をすることにしたが、それも希望者だけだった。残る51人の検査をしなかった。何よりも許せないのは近隣住民の被曝検査をしないばかりか、その問題意識すらないことである。補償問題や賠償問題につながることを恐れているのである。ここにも福島と同じような、原子力村の棄民が露出する。

深刻なのはメディアにまでその問題意識がないことだ。

2 この24日にのんびりと隣の施設の、モニタリングポストを調べている。その結果、前日23日の午後5時半に換気用のファンを回した時間帯に放射線量が上昇していたことに、ようやく気づいた。やっと放射性物質の漏洩に気付いたのである。バカである。素人にもわかることだ。

3 この日の夜遅く(24日午後9時半ごろ)原子力機構は、ようやく国の原子力規制委員会や茨城県に事故を報告した。発生から1日半も経っていた。9時半ごろというのがミソで、原子力機構はできるなら隠蔽してしまいたかったのであろう。
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愚か者たちの3月25日

25日になって、4人が最大で1.6ミリシーベルトの被曝をしていたことがわかった。(その後、25日夜になって、新たに男性研究者2人が被曝していることがわかり、6人に増えた。さらに増加の見通しである)

以上の3日間を総括すると、次のようになる。

1 福島原発事故と同じ原子力村の体質がうかがわれる。事故を隠蔽しようと努め、次になるべく小さく括って報告する。

2 事故後の対処の仕方は福島原発事故の場合と全く同じである。小出しにやり、少しずつ広げる。被曝調査も最初は希望者のみであり、施設の外に出て、隣の施設のモニタリングポストの放射線量を調べたのも翌日になってからであった。国の原子力規制委員会や茨城県に事故を報告し、情報を広げたのも1日半後である。

3 原子力村では相変わらず安全神話が生きている。

4 原子力村には周辺住民への生命と健康への気遣いが全くない。

5 原子力村には危機管理マニュアルがないか、あってもその通りに対処する能力がない。

前号のメルマガで、我が国には原発を持つ資格がない、とわたしは述べた。今回の、日本原子力研究開発機構の事故とその対処のお粗末さとで、その確信をさらに深めた。

200年以上の鎖国が許されるような極東の島国という環境。その間に多くの優れた文化が生まれたので、わたしは鎖国それ自体が悪いとは思っていない。しかしわが国には、陸続きで隣国と国境を接し、外交と政治を鍛えてきた大陸の国家とは、埋めがたい溝がある。

「長いものに巻かれろ」「寄らば大樹の陰」といった奴隷根性が許されるのは、わが国ではそれでも生きていけるからである。「長いもの」に対する茫洋とした信頼感・甘えがあるのだ。

それは現在のTPP問題でも如実に表れている。TPP参加賛成論者の多くが口走る「交渉でこちらの意見が通らなかったら参加をやめたらいい」というのも、この奴隷根性のひとつの表れであろう。

交渉は即参加であり、引き返すことも抜けでることもできず、鴨ネギを見る冷厳な視線の向かっているのが見えないのだ。あるいはわかっていても「長いもの」に巻かれるのである。それでもこれまでやってこられたからだ。

「我慢強い民族」と社交辞令をいわれて喜び、お前たちの首をこれから絞めてやるという政党に政権を渡す。この奴隷根性をわたしたちは変えなければならない。

わたしのメルマガの読者は、その奴隷根性とはすでに決別し、この国の官僚・政治家よりも先を走っている人ばかりである。それでいよいよこの国の既得権益支配層が国民を奴隷として把握し、支配するために導入する「国民総背番号制」について述べる。

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