これほど政府の発表する情報が、国民に信じられない時代はなかった。

それは、たまたま東京だけが晴れている日に、全国が晴れていると広報するようなものだ。
雨の地方は、明確に政府が嘘をいっていることがわかる。

内閣府が11日発表した2017年11月の景気動向指数(10年=100)は景気の現状を示す一致指数が前月比1.7ポイント上昇の118.1となり、2か月連続で改善した。
118.7だった07年10月以来、10年1か月ぶりの高水準となった。
鉄鋼業や海外向けのスマートフォン用半導体の生産、出荷が好調だった。

基調判断は「改善を示している」で据え置いた。
12年12月から続く景気拡大期間は60か月に達したとみられる。

一致指数を構成する指標のうち、鉱工業生産指数や投資財出荷指数などが改善要因となった。
化学工業もプラスに寄与したほか、半導体製造装置の出荷も好調だった」(「景気指数2か月連続改善 11月、約10年ぶり高水準」2018年1月11日 共同通信)

おめでたいことだ。
それならなぜ税収が減り、赤字国債が増加し、増税が必要なのか。
なぜ年金支給の繰り下げが必要になるのだ。
年金保険料未納額が増え、なぜ奨学金を返さなくていい給付型にしないのか。

去年11月から先月上旬までに2200人余りから回答を得た日銀調査で、暮らしに「ゆとりなくなってきた」との回答が増加したのはなぜなのか。
倒産件数が増加し、失業者、自己破産者が増え、自殺者が増加しているのか。
貧困率がワースト4か国に入るのはなぜなのか。

日本は、世界人材ランキングでは63か国中51位なのだが、そんな国で好景気なのは可能なのか。

世界競争力ランキングでは、26位の国、そのなかのデジタル競争力ランキングでは27位のすぎない国、高度の技術をもった世界の人材が日本にこない国が、どうして好景気を持続できるのか。

まるで安倍政権の好景気の話に付き合っていると、自分が別の国に住んでいる錯覚に襲われる。

安倍は、黒も白といえば、国民がバカだから日本では通じるというゆがんだ信念を、どの時点かでつかみ、それ以来、きわめて無能な自分のよすがとして生きてきたのである。

だからいまは不景気の好景気、99%が貧困に苦しみ、1%だけが浮かれている地獄の時代なのだ。

国際的には、そして国内的にも重要な北朝鮮問題も、安倍が米国製兵器の「爆買い」と政権維持、そして危機を煽って改憲に繋ごうとするものだから、一部では、「大モリ山カケスパ」事件のスピンとして見做されるありさまだ。

安倍のレベルで朝鮮半島有事を認識してはならない。
世界中の政治家、識者が、世界でもっとも危険な地域として極東を警戒しているのだ。

ジェフリー・ルイスは、「金正恩とICBM ―― なぜ必要なのか、完成のタイミングはいつか」のなかで書いている。

(ジェフリー・ルイスは、ミドルベリ国際問題研究所。
ブログThe Arms Control Wonkの設立者)

北朝鮮がアメリカを攻撃する能力を手に入れようとしているのには、明確な理由がある。
アメリカは北朝鮮の主要な敵対国だし、リビアの独裁者ムアンマル・カダフィやイラクのサダム・フセイン大統領に対してとられた「力ずくの体制転換」で、金正恩の運命を脅かせる唯一の国だからだ。

北朝鮮は次のように考えている。

「2011年に北大西洋条約機構(NATO)介入によって政権を追われたカダフィは、2003年に核兵器の開発計画を放棄するという致命的ミスを犯した。

2003年に政府を倒されたフセインも、イラク戦争前にアメリカが近隣諸国で軍事力を増強するのを許したことで自らを破滅に追いこんでしまった」

別の言い方をすれば、北朝鮮が核兵器を手に入れたいと考える目的は「抑止力を形成し、侵略された場合にもそれを撃退する力をもつこと」にある。

戦争が避けられなくなれば、アメリカに衝撃を与え、侵略を考え直すように、日韓の駐留米軍戦力に対して核攻撃を示唆するかもしれない。
だが、日韓の駐留米軍に対して核兵器を使用するという恫喝は、北朝鮮に対米直接攻撃能力がなければ信頼できるものにはならない。

アメリカ政府の関係者は核兵器をそのような形で使用するのは(アメリカの報復攻撃にさらされる以上)金正恩にとって自殺行為に等しいと示唆してきた。

しかし、そう言えたのはワシントンをはじめとするアメリカの各都市には北朝鮮の核ミサイルは届かないという前提があったからだ。
逆に言えば、北朝鮮の核戦略にとってはICBMの開発が不可欠なのはまさにこのためだ」(『Foreign Affairs Report』2018 NO.1)

北朝鮮が核保持にこだわる理由。
それは皮肉なことに米国が作ってきたものだ。
また、米国に届く核ミサイルにこだわるのも同じ理由である。

そのことはこれまでも本メルマガで何度も指摘してきた。
北朝鮮は、リビアのカダフィやイラクのフセインの運命によく学んだのだ。

ここでジェフリー・ルイスが述べている北朝鮮核保持の説明は、これまでわたしが述べてきた動機と重なる。

「2011年に北大西洋条約機構(NATO)介入によって政権を追われたカダフィは、2003年に核兵器の開発計画を放棄するという致命的ミスを犯した。
2003年に政府を倒されたフセインも、イラク戦争前にアメリカが近隣諸国で軍事力を増強するのを許したことで自らを破滅に追いこんでしまった」。
米国から身を守るための唯一の保証は核なのだ。

このことは重要なことを物語っている。
それは北朝鮮の核保持の動機が防衛的なものだということだ。

わが国でもB層には、居丈高な金正恩の発言から北朝鮮の攻撃的な姿勢を感じとり、北朝鮮の核保持に恐怖を感じている人たちが多い。
しかし、それはけっして米国や日韓を先制攻撃するものではない。

このジェフリー・ルイスの論文で重要なのは、「日韓の駐留米軍に対して核兵器を使用するという恫喝は、北朝鮮に対米直接攻撃能力がなければ信頼できるものにはならない」と書いていることだ。

つまり日韓への核攻撃はかまわないが、真に米国を、北朝鮮体制転覆から思いとどまらせるには、米本土に直接とどくICBMの能力がなければならないのである。

このあたりの米国の国家エゴは相当なものだ。
いまでも、米国が北朝鮮に断念させようとしているのは、米国に届く核兵器なのである。
別言すれば、米国が日韓両国に届く核兵器を断念させようとしたことは一度もない。

だらしがないのは、この露骨な宗主国の交渉姿勢に対して、安倍政権から一片の抗議もなされないことだ。

北朝鮮は、態勢保持のために、原爆や水爆で満足するわけにはいかないのである。
米本土に届くICBM開発に必死になるのだ。

すでに北朝鮮は、核弾頭の小型化に成功している。
まだ部分的に、大気圏再突入の際の、極度の高温から核弾頭を保護する技術的な課題を残しているが、この解決も時間の問題だろう。

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