デジタルテクノロジーと政治

1 デジタルテクノロジーと格差社会

12月17日のメルマガ「スパコンは全知全能の神ではない」で、むしろ負の因子として登場するデジタルテクノロジーを指摘した。

(1)デジタルテクノロジーは、さらに富の偏重をもたらし、極端な格差社会を作る。
富の再配分が今以上に必要になる。

(2)ロボットの導入は、弱肉強食、優勝劣敗、優生学のひとつの結論になる。
デジタルテクノロジーは雇用を奪う。

(3)賃金の概念はどう変化し、貧しい者たちはどうやって生きていくのかを、政治は考えねばならない。

(4)デジタルテクノロジーのもとで、政治、選挙、教育、芸術はまだ存在するのか。
そのときに人間は幸せなのか。

以上のようなことを指摘した。
あるところでは疑問のまま提出し、あるところでは結論を述べた。

デジタルテクノロジーが自然過程であり、進化をやめないので、わたしたちはその先を行かねばならない。
それはベーシックインカムで共生・共助の世界を作ることである。

以下の3人が、共同執筆「デジタル経済が経済・社会構造を変える —— オートメーション化が導くべき乗則の世界」を書いていた。
論文の発表は2014年7月号と少し古いが、的確に今日の状況を剔抉しており、昨日のメルマガの内容とも重なっているので、今日のメルマガで採り上げることにする。

執筆は以下の3人による共同執筆である。

エリック・ブラインジョルフソン(マサチューセッツ工科大学教授(経営科学)。
同大学デジタル経済研究プログラムの共同設立者)

アンドリュー・マカフィー(マサチューセッツ工科大学首席リサーチ・サイエンティスト。
同大学デジタル経済研究プログラムの共同設立者)

マイケル・スペンス(ノーベル経済学賞受賞エコノミスト。
ニューヨーク大学経済学教授。
米外交問題評議会特別フェロー)

この論文の著者の二人(エリック・ブラインジョルフソンとアンドリュー・マカフィー)はデジタルテクノロジーとその経済的特質によって規定される世界を「第二次機械化時代」と呼んでいる。
この世界にあって、もっとも不足し、よって、もっとも価値ある資源は何だろうか。
それは、普通の労働でもなければ、普通の資本でもなく、新しいアイディアを考案し、技術革新を実現できる人々だ。

もちろん、そのような才能ある人々はいかなる時代にあっても、経済的に大きな価値をもっているし、多くの場合、イノベーションを成し遂げることで大きな利益を手に入れる。
だが、これまでは、イノベーターたちも自らのアイディアを市場に送り込むには労働や資本を必要としたために、利益をシェアする必要があった。

だがデジタルテクノロジーが普通の労働や資本の役割を小さくしているために、クリエーターや起業家たちは、自分のアイディアからより大きな利益を引き出せるようになった。
要するに、労働者や投資家ではなく、アイディアをもつ人々が、もっとも貴重な資源ということになる。

テクノロジーのインパクトを説明するのにエコノミストが用いるのは、経済学の入門コースで扱われる基本モデルだ。
そこでは、テクノロジーは他のすべての効率を高め、あらゆるプレイヤーの生産性を引き上げるマルチプライヤー(増幅装置)として位置づけられている。
こうして、ごく最近までは、テクノロジーが進化すれば経済プレイヤーのすべてが平等に恩恵を手にし、労働者もさらに生産的になり、価値ある存在になると考えられてきた。

だが、より複雑で現実的なモデルでは、テクノロジーはすべての生産要素に平等には作用せず、むしろ、その一部により大きな恩恵をもたらす可能性が指摘されている。

例えば、それをうまく利用できるかどうかが労働者のスキルに左右されるような技術的変化の場合、スキルの低い労働者よりも高い労働層に有利に作用するし、資本投入を必要とするテクノロジーは労働者よりも資本家に有利に作用する。
この二つのタイプの技術的変化がこれまでは重要だった。
だが、われわれが「スーパースターに依存する技術的変化」と呼ぶ第3の技術的変化が、グローバル経済を覆しつつある。

(中略)

低コスト化、瞬時のデータの転送、完璧な複製化という三つの特質の組み合わせは、異様ながらもすばらしい経済を作り出す。
音楽ビデオのような消費財だけでなく、特定の労働や資本についても、不足していた部分を潤沢に満たすことができる。

そうした市場では、べき乗則、あるいはパレート曲線に即して、少数のプレイヤーが利益の圧倒的多くを手に入れる。
ユーザーが増えれば増えるほどユーザーの利便性と製品の価値が高まる「ネットワーク外部性」も、勝者がすべてを手に入れる経済、あるいは、勝者が市場をほとんど独占する市場を作り出す。

(中略)

だが、「べき乗則型の所得分配」の時代にあっては、ほとんどの人は平均以下の所得しか得られない。
経済全体がこのダイナミクスに支配され、国と社会もこのパターンに包み込まれていく。
実際、今日のアメリカの一人当たりGDPは世界一だが、所得の中間値はこの20年にわたって横ばいをたどっている」(『Foreign Affairs Report』2014 NO.7)

2 富の集中

わが国でも、すでにシステム化された労働環境、単純な作業を繰り返す仕事はロボットに代替されてきた。
この動きは自然過程であり、止めることはできない。

デジタルテクノロジーとその経済的特質にとって、もっとも大切な資源は「新しいアイディアを考案し、技術革新を実現できる、きわめて少数の人々だ」。この「べき乗則型の所得分配」の時代は、極端な富の偏在、格差社会を作った。

現在、日本国民に貧困をもたらしているのは、次の5点である。

(1)安倍晋三による腐敗した縁故主義の政治

(2)非正規の増加と企業の内部留保

(3)増税と社会保障の減額

(4)人工知能(AI)の増加と雇用の減少

(5)国民の政治不信と政治離れ

「低コスト化、瞬時のデータの転送、完璧な複製化という三つの特質の組み合わせは、異様ながらもすばらしい経済を作り出す」「そうした市場では、べき乗則、あるいはパレート曲線に即して、少数のプレイヤーが利益の圧倒的多くを手に入れる」それは「勝者がすべてを手に入れる経済、あるいは、勝者が市場をほとんど独占する市場を作り出す」。その結果、世界の富裕層上位62人と下位36億人の資産が同額といった、富の偏在が起きてしまった。

富の偏在といえば、ワシントンDC本拠の左派系のシンクタンク「Institute for Policy Studies(IPS)」のレポートによると、米国で最も裕福な3名、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェット、ジェフ・ベゾスの資産額の合計が、下位50%の米国人(約1億6000万人)の合計資産額を超えている。
貧富の格差は凄まじく、「米国人のおよそ5人に1人は資産額がゼロ、もしくはマイナス」という惨状だ。

具体的にその資産額を見てみると、ベゾス、ゲイツ、バフェットらの資産額の合計は、2017年9月中旬の時点で、2485億ドル(約28兆円)という巨額だった。
その後、アマゾン株の値上がりによって、3名の合計資産額は2630億ドル(約30兆円)に膨らんだ。

この意味をよく考えねばならない。
貧富の差は、機会の差を生んでゆく。
同じ天分があっても、富める者は機会を活かし、貧しい者は機会を掴めない。
公平平等の民主主義も幻想にすぎないのだ。

「今では市場価値の高い企業ほど、組織を率いる優れた人材が必要であることを強く認識している」というが、これは政治とて同じである。
国民が幸せな国ほど、優れた政治家たち、優れたトップに恵まれている。

安倍晋三など論外であり、国民を不幸にして、貧困にし、海外に金をばらまいている。

強力な、それでいて99%に寄り添う政治が、富の再配分に覚悟を持って取り組む必要がある。

そのためには、政権交代からはじめねばならないだろう。

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