「プロスペクト理論」と予防戦争

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このページの要旨

[char no=”1″ char=”漱石”]企業が内部留保をどんどん貯め込んで、社員の給料にはけっして回さず、いまや406兆円。この額もさることながら、その意味は凄いことです。グローバル化した企業が、自分たちには国家もナショナリズムも同胞もないといっているのですよ。金は国民に回さないのです。[/char]

財務省は2016年度の企業の内部留保が、前年度よりも約28兆円も増えて406兆2348億円にもなったことを公表した。
こうして1%はさらに豊かになるのだが、社員の給料には回さない。
安倍―前原ラインは、これでもなお法人税を下げるといっているから、これからも格差は一層広がっていくことになる。
脱原発の泉田裕彦前新潟県知事が、自民党に担がれて、10月22日投開票の衆院新潟5区補欠選挙に出馬する。
前原民進党の誕生に見られるように、世はまさに総転びの状況になってきた。
1%の側へ、右へ、戦争へと傾いていく。

「プロスペクト理論」では、意思決定者の比較考慮の基準を明らかにし、得をしそうか、損をしそうか、どちらと考えていたのかを理解することが重要になる。
この「プロスペクト理論」を、今回の民進党代表選に適用してみると、前原誠司の政策は、民進党の多数派の内情にそったものであることがわかる。
逆に、枝野幸男は、損をするリスクを引き受けたことがわかる。
前原誠司が代表選で得をする選択になっていたのに対し、枝野幸男は国民のこと、党の建て直しと将来といったリスクを引き受けていた。
深刻なのは現下の北朝鮮問題にプロスペクト理論を適用した場合、米国は、このまま北朝鮮の核兵器の進化を見過ごすのは損であり、いまのうちに叩いておいた方が得するという、予防戦争の思想に繋がることだ。

[char no=”2″ char=”芥川”]政治がグローバル大企業に対応できません。自分たちが作った怪物に、国家が解体されていっているのです。あわてた安倍晋三が、企業のトップに賃上げを頼んだりしていますが、聞きません。かれらの目指すのはワン・ワールド政府であり、すでに安倍晋三は召使いにすぎないのです。[/char]
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1 総転びの状況

すっかり秋めいてきた。

3日ほど前から、エアコンをかけなくなった。
窓を開けておくだけで過ごせる。
昼まで待ったが、やはり蝉の声が聞こえない。
聞こえればうるさく、聞こえなければ寂しい、蝉の声ばかりの夏が逝く。

昨日の夜などは、神戸の自宅で室温が27度である。
ものを考えたり、書いたりするのにちょうどよくなった。

9月1日、財務省は2016年度の企業の内部留保が、前年度よりも約28兆円も増えて406兆2348億円にもなったことを公表した。

こうして1%はさらに豊かになるのだが、社員の給料には回さない。
野党の一部を除いて与野党とも「今だけ、金だけ、自分だけ」の政治に夢中である。
安倍―前原ラインは、これでもなお法人税を下げるといっているから、これからも格差は一層広がっていくことになる。

政治がこの体たらくだから、企業も当然そのように生きている。

前原民進党の誕生に見られるように、世はまさに総転びの状況になってきた。
1%の側へ、右へ、戦争へと傾いていく。

これも9月1日のこと、脱原発の泉田裕彦前新潟県知事が、自民党に担がれて、10月22日投開票の衆院新潟5区補欠選挙に出馬する。

自民党の地元支部選考委員会は1日、前新潟県知事の泉田裕彦を擁立する方針を決め、翌2日に泉田の意向を確認した。

泉田は「真摯に受け止める」と答えた。
泉田は記者団に「運命的なものを感じる」とも述べたという。

最初は「フェイクニュース」かと思った。
いや、まだ半信半疑である。
それほどこれは衝撃的なニュースだ。

日本民族は裏切り者を多く生む。
自分が生き残るためには平気で同胞を裏切る。
上が下を見捨てる。
これは太平洋戦争から生き延びた多くの兵士たちの証言だ。
いま、総転びの状況になって、これが見られる。

天下の古ダヌキ小池百合子の側近で、日本ファーストの会の若狭勝衆院議員が、「民進党は今後衰退していく。協力することは考えていない」と語った。

誰が見ても民進党はすでに終わっている。
だから若狭勝が語った真意とは、政党間の対等の協力ではなくて、離党してくれば拾ってあげてもいいよ、ということである。

実際、そうなっていくだろう。
前原誠司の「All for All」(みんながみんなのために)などは、「言うだけ番長」「口先番長」の、夏の終わりの蝉の声だったのである。

今日のメルマガでは、「社会科学を覆した2人のイスラエル人学者 ―― トベルスキーとカーネマン」というユエンフーン・コンの論文を手がかりに、政治判断における人間の愚かさについて考えて見る。

(ユエンフーン・コンYuen Foong Khongは、シンガポール国立大学 リー・クアンユー公共政策学院教授(政治学))

この論文で採り上げられているカーネマンとトベルスキーは、ふたりとも心理学者である。
人間の思考プロセスに欠陥があることを発見したことで知られる。
合理的なアクターという経済学の大前提に疑問を投げかけ、人間の思考プロセスについてもっと現実的な説明をした」「2人は、人間が確率を考えるときに抱く体系的なバイアスを発見し、経済学、医学、法学、公共政策の研究と実践に革命を起こした」。
この功績で、ノーベル賞を受賞した。

2 「プロスペクト理論」と予防戦争

<プロスペクト理論と意思決定>

だが、その関係が破綻するまで、2人(トベルスキーとカーネマン 注 : 兵頭)はその豊かなパートナーシップを通じて心の仕組みについて多くの「常識」を覆していった。
計量経済学会の論文誌、エコノメトリカ誌に1979年に掲載され、この雑誌史上もっとも多く引用されている「プロスペクト理論」に関する論文は、それまでの経済分析すべてと政治学の大部分の前提となってきた考え方を真っ向から覆した。

2人の実験によると「不確実な環境での意思決定」は、期待される結果の価値よりも、そうすることが損か得かという認識に左右される。
また、同様に一般的理論とは逆に、損になるという意識の方が、得になるという意識よりも(人間の判断に)大きな影響力をもっている。

そして得になると感じている人は、損をするのではという不安から、リスクを避ける傾向がある。
だが、もともと損をすると感じている人は、これをなんとか覆そうとして、進んでリスクを引き受ける。

この発見を現実世界にあてはめると、ある選択がなされた理由を特定する上で意思決定者が「どの選択肢が利益を最大化する」と考えたかに注目するだけでは正しい理解は得られないことを意味する。
意思決定者の比較考慮の基準を明らかにし、得をしそうか、損をしそうか、どちらと考えていたのかを理解することが重要になる。

国際関係の研究者たちは、プロスペクト理論を応用して、有名な意思決定を解釈してきた。
たとえば、1950年に毛沢東が、まだ中国には十分な軍事力がないにもかかわらず朝鮮戦争に介入したこと、1980年にジミー・カーター米大統領がイランのアメリカ大使館人質事件でリスクの高い救出作戦にゴーサインを出したこと、そして2003年にジョージ・W・ブッシュ米大統領がイラク侵攻に踏み切ったことなどだ。

いずれのケースでも、リーダーたちは、「このままでは損をする」と感じていたと、プロスペクト理論では説明される。
毛沢東は「北朝鮮で西側が勝利すれば中国の国家安全保障が脅かされる」と懸念し、カーターは人質危機に終止符を打とうと必死で、ブッシュは米同時多発テロ後のアメリカの脆弱性を心配していた。
そしてどのリーダーも、成功の確率が不透明だったにもかかわらず、進んで軍事力を行使するリスクを引き受けた」(『Foreign Affairs Report』2017 NO.6)

ふたりが考えついた「プロスペクト理論」をまとめると、次の通りになる。

(1)「不確実な環境での意思決定」は、期待される結果の価値よりも、そうすることが損か得かという認識に左右される。

(2)一般的理論とは逆に、損になるという意識の方が、得になるという意識よりも、人間の判断に大きな影響力をもつ。

(3)得になると感じている人は、損をするのではという不安から、リスクを避ける傾向がある。

(4)もともと損をすると感じている人は、これをなんとか覆そうとして、進んでリスクを引き受ける。

(5)意思決定者の比較考慮の基準を明らかにし、得をしそうか、損をしそうか、どちらと考えていたのかを理解することが重要になる。

この「プロスペクト理論」を、今回の民進党代表選に適用してみると、前原誠司は、民進党多数派の内情に添った選択になっていた。

国民の生活苦など顧みられることはなかった。
党内の趨勢、連合との関係などで消費税増税もすんなり政策に掲げられた。

原発を容認し、安倍と同じ極右の小池新党との連携を口にした。
辺野古が基本」と相変わらず対米隷属をつらぬき、憲法改定推進で、カジノに前向き法人税をさらに下げる、と約束した。どこが安倍と違うのか。
これはすべて代表選で勝つための、得をするための政策になっている。
結果的に、リスクは注意深く避けられている。

逆に、枝野幸男は、損をするリスクを引き受けたことがわかる。
かれは、党内的には不利な原発ゼロをめざし、小池国政新党は自民補完勢力で連携拒否と明言した。
憲法改定には慎重、消費税増税に反対している。
これは党内の状況を考えると実に勇気のある政策だった。
カジノに反対し、法人税を上げると約束した。

沖縄問題では、「移設先を検証」すると語った。

前原誠司の政策が、決して国民の幸せには繋がらないが、民進党内では得をする政策だったのに対し、枝野幸男は国民のこと、党の建て直しと将来といった展望を切り拓き、代表選のリスクを引き受けていた。

政治家としては遙かに枝野が優れており、民進党のためにもなったのだが、この国ではトップにはおバカの方を推すお約束で、前原が新代表になって民進党に幕を引くことになった。

ここでユエンフーン・コンは3つの歴史的事件を挙げている。

(1)1950年に毛沢東が、朝鮮戦争に介入したこと

(2)1980年にジミー・カーター米大統領が、イランの米大使館人質事件でリスクの高い救出作戦にゴーサインを出したこと

(3)2003年にジョージ・W・ブッシュ米大統領がイラク侵攻に踏み切ったこと

以上の3つであるが、ユエンフーン・コンはプロスペクト理論で、いずれのケースでも、リーダーたちは、「このままでは損をする」と感じていたと解釈する。
ブッシュに関しては、わたしは見解を異にするが、ここでは言及しない。

深刻なのは現下の北朝鮮問題にプロスペクト理論を適用した場合、このまま北朝鮮の核兵器の進化を見過ごすのは損であり、いまのうちに叩いておいた方が得するという、米国の予防戦争の思想に繋がることだ。

日本では楽観論が支配的である。
確かに安倍政権は、北朝鮮の脅威を煽りながら米兵器購入と加計隠しに利用している。
しかし、北朝鮮攻撃を決めるのは米国なのだ。
そのとき、米軍は自衛隊を自由に使うのであり、日本に参戦の拒否権などないのである。

だから朝鮮半島の危機に関しては、日本の劣化した政権よりも、軍事政権化した米国の動向を注視しておかなくてはならない。

世界は、のほほんとした日本とは違って、朝鮮半島が危機的な状況にあると見ている。

最新の情報では、プーチンが「大統領府のウェブサイト上で、米国と北朝鮮の対立が大規模な紛争に発展する恐れがあると警告し、北朝鮮に圧力をかけるのは誤りとの見解を明らかにした」「その上で朝鮮半島情勢は「大規模な紛争に発展する手前」まで悪化したと指摘した」。
北朝鮮情勢、大規模紛争に発展する恐れ=ロシア大統領

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わたしは若い頃に吉本隆明の『試行』に作品を発表していました。
この『試行』自体が、そのような問題意識に貫かれた同人誌でした。
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[char no=”10″ char=”与謝野晶子”]そうです。
何を書くか、よりも、誰が書くか、ですね。
どんな位置にいる、誰が書くか、が大切なのです。
それは、ほんとうのことを言えるかどうかの違いになってきます。
この位置は、競合する表現者には同じステージで真似できない強みになるのですね。
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また、教師をやっていたことから、わかりやすく表現することには通じており、多くの読者の方からわかりやすいという声を聞いています。

[char no=”9″ char=”太宰”]わかりやすいというのは、論理的ということね。
その論理も、説得する論理ではなく、納得させる論理でなければいけないのだろう。
それでどうしてもある程度の長さが必要になる。
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麻生太郎への甘さが軍国主義の土壌

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このページの要旨

麻生太郎の「(政治は)結果が大事だ。
何百万人殺したヒトラーは、やっぱりいくら動機が正しくても駄目だ」という本音が世界中を駆け巡っている。
『Sputnik日本』でも「麻生副総理、その発言で日本の軍国主義の「過去の亡霊」をよみがえらせる」と採り上げた。
「一部の国は、日本が同国の軍国主義時代の犯罪を完全に悔恨したとは考えていない。
麻生氏の発言は、誰かの感情を傷つけたというだけでなく、日本の外交政策や世界における日本の外交政策のポジショニングにとっても非常に大きな打撃だ」

共産党が麻生太郎の罷免を求めている。
しかし、他の野党は死んだように静かだ。
むしろ『Sputnik日本』は、議員、メディア、国民の無関心にこそ焦点を当てた方が、優れた記事になったであろう。
この無関心、楽観主義、あいまいさこそが、日本では軍国主義の育つ土壌なのだ。
麻生太郎のような政治家がいるから、日本に対しては、ドイツと違って、果たしてほんとうに第二次世界大戦の軍国主義を、そして外国侵略を反省しているのか、という声が消えないのである。

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1 麻生太郎のヒトラー礼賛が世界を駆け巡る

日本の恥、麻生太郎の「(政治は)結果が大事だ。何百万人殺したヒトラーは、やっぱりいくら動機が正しくても駄目だ」という本音が世界中を駆け巡っている。

欧米ではまた採り上げていない国、メディアを探す方が簡単かもしれない。
ヒトラーの動機とは思想のことであり、それが正しかったと麻生発言を受け取るのは、誤解ではなく、正しい解釈である。

ネット上では、同じナチス礼賛の高須クリニック高須克弥が批判されたばかりだが、それが燃えさかっているところに、副総理の麻生太郎まで加わってきた。
それほど日本の野党も含めて軍国主義者が増加しているということだろう。

とうとうロシアの『Sputnik日本』(2017年8月31日)まで乗りだしてきた。

日本の麻生副総理兼財務大臣は29日、「何百万人を殺したヒトラーは、いくら動機が正しくても駄目だ」「確たる結果を残して初めて、名政治家だったと(言われる)。人が良いだけでできる仕事ではないと、皆さんもよく分かっている」と言った発言をした。
共同通信社は「ナチス・ドイツの独裁者を例示して政治家の心得を指南した発言で、国内外で問題視される可能性がある」と報じた。

スプートニク日本ロシア政府付属財政大学准教授で、政治学者のゲボルク・ミルザヤン氏は次のように懸念を示した。
「麻生太郎氏は、日本の元総理大臣であり、2008年から2009年に日本政府を率いた人物だ。
すなわち自国の歴史のとても繊細な部分を考慮する必要のある非常に高いレベルの政治家だ。
日本は第二次世界大戦やナチズムと何らかの形で関係しているすべての犯罪と常に限りなく距離をとるべきだ。
なぜなら一部の国は、日本が同国の軍国主義時代の犯罪を完全に悔恨したとは考えていないからだ。

これは日中関係や日韓関係、またフィリピンを含む東南アジアの複数の国々との関係において未だ難しい問題となっている。

日本の元首相で現在は副首相兼財務相が、たとえそれが遠回しだったとしてもヒトラーの活動に肯定的な見方を示したならば、中国や韓国メディアが反日宣伝のためにいつかそれを取り上げることは間違いなく、日本は軍国主義を悔い改めなかったと再び証明するだろう。

そして日本のあらゆる強化は、必然的に軍国主義の復活を意味することになる。
したがって麻生氏の発言は、誰かの感情を傷つけたというだけでなく、日本の外交政策や世界における日本の外交政策のポジショニングにとっても非常に大きな打撃だ

麻生氏の不用意な発言はこれが初めてではなく、日本には麻生氏の失言をまとめたサイトなども登場しているほどだ。
そこでは「さっさと死ねるようにしてもらうとか、考えないといけない」「アルツハイマーの人でもわかる」「金正日に感謝しないといけないのかもしれない」などなど、数々の失言が紹介されている。

他の政治家ならば議員辞職に追い込まれそうなものだが、麻生氏の破天荒なキャラクターは国民の間で有名なので、「またいつもの失言か」と日本人は冷静に受け止めている。
しかし諸外国はこの失言を真剣に捉えたり、あるいは日本批判の材料にする可能性がある。

ミルザヤン氏は「特に日本は今、トランプ大統領や米国への不信を含む様々な理由で、より独立した自主的な外交政策を目指している。中国あるいは韓国のマスコミが麻生氏の発言を取り上げ、メディアで大きく報道されるのは時間の問題でしかない」と話す。
もちろん日本政府はなんとかしてこの事態の収束を図るだろう。

麻生氏は2013年、戦前ドイツのナチス政権時代について「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。
あの手口を学んだらどうか」と述べた。
このときも激しい批判を受け、謝罪を余儀なくされた。
ミルザヤン氏は言う。

「ワイマールに関する発言は、当時の憲法改正をめぐる議論の中で言及された。これもデリケートで難しいものだった。だが今回麻生氏は、ヒトラーの目的は大まかには正しく、その手段が間違っていたと事実上述べたことになる。

しかしヒトラーの目的がドイツ民族に優越感を抱かせて民族主義国家を形成することだったのは周知の事実だ。
これは日本のナショナリズムと非常によく似ている。
なぜなら日本の軍国主義時代、朝鮮文化は事実上禁止されたからだ。
朝鮮人には日本の名前が与えられ、ハングルも事実上禁止された。

日本は、他の民族の文化を差別する政策を行ったということになる。
もちろん日本は今、全く別の政策を行っているが、そういったことが日本の歴史の一ページにあったのは確かだ。
そして麻生氏はヒトラーに関する発言によって、軍国主義という過去の亡霊を事実上蘇らせようとしている」(「麻生副総理、その発言で日本の軍国主義の「過去の亡霊」をよみがえらせる」

2 麻生太郎への甘さが軍国主義の土壌

いまのところ、共産党が麻生太郎の罷免を求めている。
しかし、他の野党は死んだように静かだ。

日本の政治から野党も含めて、「真摯」「誠実」「正直」「勇気」「思いやり」「戦略」といった、小泉純一郎以前にはあった好ましい資質がなくなってしまった。
多くの議員は関心もないのである。

むしろ『Sputnik日本』は、議員、メディア、国民の無関心にこそ焦点を当てた方が、優れた記事になったであろう。
この無関心、楽観主義、あいまいさこそが、日本では軍国主義の育つ土壌なのだ。

「確たる結果を残して初めて、名政治家だったと(言われる)。
人が良いだけでできる仕事ではないと、皆さんもよく分かっている」。
「人が良いだけでできる仕事ではない」などと、これは悪政の正当化である。
全体の文脈はヒトラーの動機を肯定している。

ゲボルク・ミルザヤンが「日本は第二次世界大戦やナチズムと何らかの形で関係しているすべての犯罪と常に限りなく距離をとるべきだ。なぜなら一部の国は、日本が同国の軍国主義時代の犯罪を完全に悔恨したとは考えていないからだ」と懸念を示すのも当然だ。

麻生太郎のような政治家がいるから、日本に対しては、ドイツと違って、果たしてほんとうに第二次世界大戦の軍国主義を、そして外国侵略を反省しているのか、という声が消えないのである。
それも戦後70年経って、今回の麻生の発言は超特大級の爆弾だ。

これをすぐに麻生が撤回し、安倍晋三が麻生を罷免しない。
これで一層外国は不信を募らせるのだ。

これからの「日本のあらゆる強化は、必然的に軍国主義の復活を意味することになる。したがって麻生氏の発言は、誰かの感情を傷つけたというだけでなく、日本の外交政策や世界における日本の外交政策のポジショニングにとっても非常に大きな打撃だ」。麻生の発言は国益に反している。こういう厳しい分析と見通しが日本にはできない。

日本は、軍国主義者が政権のトップに立つほど政治の劣化した国だ。
その現実に世界の厳しい目が注がれることになる。

日本は奇妙な国、特異な民族、という見方は、これまで以上に世界に広がり定着していくことになろう。

なぜなら安倍晋三が麻生を罷免しないのみならず、日本には麻生の発言を許容する空気があるからだ。
ネットの批判など、一部だと思った方がいい。

先ほども都知事の小池百合子が、関東大震災時の朝鮮人虐殺に対して、例年都知事が送っていた追悼文を、今年からやめたばかりだ。

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この『試行』自体が、そのような問題意識に貫かれた同人誌でした。
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何を書くか、よりも、誰が書くか、ですね。
どんな位置にいる、誰が書くか、が大切なのです。
それは、ほんとうのことを言えるかどうかの違いになってきます。
この位置は、競合する表現者には同じステージで真似できない強みになるのですね。
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また、教師をやっていたことから、わかりやすく表現することには通じており、多くの読者の方からわかりやすいという声を聞いています。

[char no=”9″ char=”太宰”]わかりやすいというのは、論理的ということね。
その論理も、説得する論理ではなく、納得させる論理でなければいけないのだろう。
それでどうしてもある程度の長さが必要になる。
ぼくが長編を書いたのも、そのためさ。
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