ウクライナ・ロシア・北方四島

現在、ウクライナ情勢が急を告げている。

ポイントは以下のことだ。

1 ロシアがウクライナ南部クリミア半島への軍事介入を決め、実際に展開し始めた。

2 米国とNATOの軍事介入は、米国とロシアとの直接衝突を覚悟しなければならず、困難である。

3 ウクライナはNATO加盟国でない。したがって、NATOには集団的自衛権に基づく軍事行動を起こす根拠がない。

4 ロシアが、軍事行動をクリミア半島だけでなく、ウクライナ東部に拡大すれば、状況は深刻になる。

Ukraine Russia intervention

5 安倍政権は、悩ましい状況に置かれることになった。それは、ロシアのプーチン大統領が、今秋、来日し、北方領土問題の進展を期待していたからである。ここで、すでに10億ドル(約1020億円)規模の債務保証の検討も表明した米国に隷属して、暫定政権への経済支援をすると、ロシアとの関係が緊迫する。だからといってロシアを支持するわけにもいかない。

具体的な状況は以上のようなことである。ただ、安倍政権にとってロシアは重要な位置を占めている。それを今日のメルマガでは考えてみよう。

安倍政権の外交は行き詰まっている。対米、対中、対韓、この日本外交にとってもっとも重要な3国関係が冷え切っている。中国、韓国に至っては、首脳同士の会談すら持てない有り様だ。

これが民主党政権だったら、連日、自・公とマスメディアに袋叩きに遭っていたと思われる。首相とマスメディア幹部との頻繁な酒席・会食が功を奏して、マスメディアは、何も問題はないといわんばかりの静けさである。いずれにしても安倍晋三は、この窮地を乗り切るためにロシアに活路を求めた。しかし、中国を牽制する戦略だとしたら、これ以上愚かなことはない。

Putin 2

わたしがロシアを考えるときに常に思い浮かべるのは、ドストエフスキーやトルストイ、ゴーリキー、ツルゲーネフ、ショーロホフ、サヴィンコフ、ソルジェニーツィンといった作家である。それにチェーホフやゴーゴリもいる。わたしは、かれらのフィルターを通すことなくしてロシアを考えることはできない。

Ðåïðîäóêöèÿ êàðòèíû "Ïîðòðåò Ô. Ì. Äîñòîåâñêîãî"

それほど文学の力は偉大である。文学は、その民族の根源的な力を表している。底の浅い民族は、けっしてスケールの大きい、巨大な文学を生むことはない。

安倍晋三ほどロシア文学にふさわしくない人物はいないだろう。ロシア文学に登場する、どんな軽い人物よりも、さらに安倍は軽い。

つまり、わたしがいいたいのは、中国を牽制するために利用する、活路を求める相手としては、ロシアはあまりに重すぎるということだ。

プーチンは、安倍の手に負える相手ではない。

ただ、客観的に見て、2013年11月2日の、ロシアとの「2プラス2」(相互の外相と国防(防衛)相)会合には大きな意味がある。

ここで面白いのは、「2プラス2」はロシア側からの提案だったにも関わらず、ロシアが、正式な要請を日本側に求めさせたことだ。

つまり正式には、日ロの「2プラス2」は日本側の要請でなされたことになる。これはロシアの、中国への牽制であろう。日本がうまく使われているのだ。

プーチンのロシアの厳しさを知るには、最近の中国に対する、ある行動を知ればよい。ブルッキングス研究所シニアフェロー(外交政策研究プログラム)のフィオナ・ヒルは、「中国の台頭で変化する日ロ関係―和解を模索しつつも、不透明な未来」のなかで、次のように書いている。

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「中国は戦略的パートナーであると表明するプーチンは、モスクワと北京との間に大きな立場の違いがあることを頑迷に認めようとしない。

とはいえ、 2012―13年の二つのエピソードは、ロシアは中国の長期的な野心を警戒していることを物語っている。

2012年夏、中国の砕氷船スノードラゴンが北極海への歴史的な航海を試みたが、スノードラゴンがまさにオホーツク海に入るタイミングで、ロシアはこの海域で軍事演習を実施した。

砕氷船がロシアのサハリンと北海道の間の宗谷海峡にさしかかると、ロシア軍は突然、サハリンにある対艦ミサイルの試射さえ行っている」(『Foreign Affairs Report NO1』)

「戦略的パートナー」中国に対してさえ、ロシアのこの厳しさだ。

現在のウクライナ問題も、 EUと米国は完全に読みを誤ったとしか思えない。ソチオリンピックにあわせて、ウクライナで政変を起こさせ、ヤヌコビッチ大統領を解任すれば、パラリンピックとサミットを控えてプーチンは手出しできないだろうと読んだのだろう。

しかし、プーチンにしてみれば、ウクライナを米国にとられるぐらいなら、オリンピックやサミットなどどうでもよかったのである。少なくともウクライナと比較できる価値などではなかったのだ。

ウクライナ情勢に深刻な危機がくるとすれば、ロシア軍がウクライナ全土に展開し、EUと米国が軍事介入したときだが、その可能性は極端に小さい。

それは、冷戦時代でもなかった米ロの直接的な軍事衝突を意味するからだ。

シリア介入にさえ拒絶反応を示した米国民と議会である。正統性さえ疑われている暴動政権に荷担して、米軍の軍事介入を認める筈がない。

しかも相手は、米国を直接攻撃できる原爆搭載のミサイルをもっている。ロシアとの戦争を認めることなどあり得ないのだ。

そうしているうちに、早くもウクライナ海軍のベレゾフスキー総司令官が、2日に寝返って、親ロシア派のクリミア自治共和国に忠誠を誓った。かれらはロシアの恐さを知っているのだ。

さて、そのロシアとの北方四島返還交渉である。安倍晋三は単純に考えているかもしれないが、なかなか難しい。基本的に、ロシアが北方四島を返すのは、その方がロシアにメリットがあると判断した場合のみである。

それは、ひとつはそのような、政治的経済的、さらには軍事的な苦境にロシアが追い込まれた場合であり、もうひとつは天文学的な金を日本が積み上げたときである。現在、ロシアは苦境に追い込まれてはいない。それなら金を積み上げるしか方法はない。

もともと日本の領土であり、金を払う必要はない、という原則に立てば、交渉の糸口さえ閉ざすことになる。現実的に考えると、これしかないのである。

問題はロシアから見た安倍晋三が、米・中・韓から信頼を失い、次第に孤立を深めていることだ。これは、別に四島を返還してまで、平和条約を結ばなくてもいい相手ということになる。

つまり安倍がロシアに接近する状況こそが、ロシアにとっては、そのまま返還しなくてもいい状況なのだ。

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