安倍晋三や石原慎太郎、橋下徹らから聞こえてくる軍国主義には、ある共通性がある。それは評論家風の気楽さだ。

自分が銃を担いで中国と向き合う深刻さは微塵も感じられない。自分の主体的な問題としては捉えられていないのだ。

これまでもわが国の政治と官僚の劣化は、様々な角度から語られてきた。その重要なポイントのひとつは想像力の欠如だ。

それがこの3人のイデオロギーには色濃く刻印されている。

自分が中国との最前線に立つ、という深刻さや気負いは、その年齢からいっても彼らにはない。

しかし自分の家族や親族が銃をもつといった深刻さもない。

まして東京や大阪に、中国の原爆を積んだミサイルが飛来するといった想像力、あるいは日本全土の原発にミサイルが打ち込まれるといった想像力は皆無だ。

日本は戦争のできない国である。なぜなら元ブルガリア原子力安全庁長官ゲオルギ・カスチエフが語る、次の状況におかれているからだ。

「日本は核戦争後の世界と言っていい。広島型原爆170発分のセシウムが福島第1原発から環境に放出された。日本全体が核戦争の後のように汚染されている」

「もし年間20ミリシーベルトまでは避難させなければ、世界標準では革命が起こる」

この惨状を放置したまま、軍国主義に向かい、戦争をやるのか。

実に弛緩した、無責任で、幼稚な主張なのである。

中国と尖閣を巡って戦争になる。そのときに、まだ、さもしく米国の支援をあてにしている。米国は助けてくれないのだ。

前号でも触れたが、戦争には表面に浮上する理由以外の、もっと大きな裏の仕掛けが動いている。

日中戦争について押さえておくべきことは、次の3点である。前号の内容を敷衍して展開する。

1 米国のアジア戦略は、日・中・韓を対立させ、競わせ、東アジアとしてまとまることを阻止することである。

もし3国がまとまれば、東南アジアの諸国も仲間に入る、強大な地域経済圏ができあがる。

これは、米国を中心とする西側諸国の東アジアにおける政治・経済・安全保障上のプレゼンスの維持を損ねる。

それで米国は、東アジア経済グループ(EAEG)構想にも、東アジア経済協議体(EAEC)構想、それに「ASEAN+3」にも反対してきた。

ちなみに「ASEAN+3」、「ASEAN+6」、TPPの参加国は、現在のところ次のようになっている。

「ASEAN+3」

(以下の東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日本・中国・韓国)

(1)ブルネイ (2)インドネシア (3)カンボジア (4)ラオス (5)ミャンマー (6)マレーシア (7)フィリピン (8)シンガポール (9)タイ (10)ベトナム

「ASEAN+6」

「ASEAN+3」に、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた計16カ国

TPP(加盟国・交渉国)

(1)シンガポール (2)ブルネイ (3)チリ (4)ニュージーランド (5)アメリカ (6)オーストラリア (7)マレーシア (8)ベトナム (9)ペルー   (10)カナダ (11)メキシコ

こうして見ると、「ASEAN+3」に反対して、米国がTPPには自ら参加して、日本を参加させようとする狙いが見えてくる。

「ASEAN+3」は純粋にアジアの国で構成されており、米国の東アジアにおける政治・経済・安全保障上のプレゼンスがないのは明白だ。

さらに中国が加わっていることから、アジアでの中国の政治的・経済的・軍事的な影響力が増す。

しかも日・中・韓を対立させ、アジアを分割して統治する米国の戦略も、これで破綻する。

しかしアジアはアジアであり、地域的な結びつきは年々に深化してゆく。

そこで米国はTPPに日本を巻き込み、アジア分断の固定化を狙ったのである。

いわばTPPは日中分断の、「ベルリンの壁」であり、もし日本が参加すれば牢獄の檻だった気付くことになろう。
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2 日中が尖閣で武力衝突しても、米国は参戦しない。

2005年の日米安全保障協議委員会の、「2プラス2」で、島嶼(とうしょ 尖閣)防衛は日本側の責任と明記されている。

その文章は「日米同盟:未来のための変革と再編(骨子)」にある。

「日本は、弾道ミサイル攻撃やゲリラ・特殊部隊による攻撃、島嶼部への侵略といった、新たな脅威や多様な事態への対処を含めて、日本を防衛し、周辺事態に対応する。このため、防衛計画の大綱に従って防衛態勢を強化」
(引用終わり)
http://bit.ly/12oyr3I

引用文の「島嶼部」というのが具体的には尖閣などの島を指す。

しかも日米安保の発動で、米軍が動くときは、勝手に指揮官が動かせるわけではなく、米国議会の承認を必要とする。

日米安全保障条約の第5条はこのように書かれている。

「第5条 両国の日本における、(日米)いずれか一方に対する攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであるという位置づけを確認し、憲法や手続きに従い共通の危険に対処するように行動することを宣言している」
(引用終わり)

「憲法や手続きに従い」とあるのがそれである。

つまり尖閣を巡って偶発的に武力衝突が起きた場合、現場の米軍指揮官は自動的に部隊を動かす対日防衛義務を負っているわけではないのだ。

かりに尖閣を巡って日中に武力衝突が起きたとしよう。

そのとき、米中の密接なつながり、貿易の膨らみ、中国が世界最大の米国債の購入国である現状から、米議会が、名前も知らない小さな無人島の、しかも日本の領有をも認めていない島のために、中国との戦争に参戦するなど、あり得ないことだ。

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